浦和の家

敷地は旧中山道裏の歴史ある街区に位置し、周辺に老舗旅館や集合住宅の建ち並ぶ、利便性の高い都市的な環境にある。一方で、その利便性と引き換えに前面の道路は比較的通行量が多く、また、用地買収の進んでいる近隣の計画道路が完成した後には、さらに通行量が増えることが予想された。
敷地に前面道路と高低差があるため、私たちはまず、道路に面した地下 1 階を車庫およびアプローチとし、地上階を居間・ 食堂などの主要居室、そして最上階を寝室群とする断面構成をとった。
次に、限られた敷地面積の中で室内に様々な方向から光と風を導くために、建物の内部や周囲に、幾つもの中庭やテラス、吹抜けといった外部/半外部空間を立体的に配置した。室内の動線は、こうした外部/半外部空間を巻込みつつ、地下のエントランスから広々とした主階の居間・食堂を経て、個室のある最上階まで回遊的に展開していく。
主階にある居間・食堂の窓は、街路に向かって直接開くのではなく、いったん中庭と吹抜(下階エントランス上部)に向けて開き、次に、その中庭・吹抜が街路に向かって開いている。室内の様子が街路から適度に隠されている一方で、室内から見る外の景色は、半外部空間を介して抽象化される。
外部に対して完全に閉じてしまうのではなく、両者の間に適度な距離感を持たせることで街路を「向こう側の世界」に変え、内部に親密さを作ることを考えた。
2階の主寝室・子供室の窓は、隣地の巨木の梢や、道路越しの遠景に直接向き合わせている。同じ住宅の内部でも、居間や食堂とは空間が持つ親密さの度合いを変え、それぞれの場所の役割をより明確にしたいと考えた。吹抜けに架けられた主寝室に向かうブリッジと、子供室からはそれぞれ、主階の居間越しに地下の玄関まで、3層分の高さを一気に見下ろすことができる。これは住宅と街路の関係を住宅内部でも再現し、空間に重層性と奥行きを持たせるための試みである。

名称:浦和の家
施主:個人
所在地:埼玉県さいたま市
用途:戸建住宅
面積:266.00m2
竣工:2011年1月
基本・実施設計:カスヤアーキテクツオフィス(粕谷淳司・粕谷奈緒子・村田裕紀)
監理:カスヤアーキテクツオフィス(粕谷淳司・粕谷奈緒子・村田裕紀)
構造設計:小西泰孝建築構造設計(小西泰孝・金子武史)
照明デザイン:ソノベデザインオフィス(園部竜太)
施工:株式会社桧家住宅(中村徹・遠藤雅也)
撮影:吉村昌也(Copist & the Brushworks)

Project name: House in Urawa
Client: Personal
Project site: Saitama, Japan
Function: Private House
Size: 266.00m2
Design & Supervise: Atsushi+Naoko Kasuya, Yuki Murata(KAO)
Structural Design: Yasutaka Konishi, Takeshi Kaneko (KSE)
Lighting Design: Ryuta Sonobe(Sonobe Design)
Contractor: Hinokiya Juutaku Co.,Ltd.(Toru Nakamura, Masaya Endo)
Photo: Masaya Yoshimura(Copist & the Brushworks)