安曇野の山荘

森の中に計画された、既存樹木を避けて枝分かれした平面を持つセカンドハウスである。
垂直の壁面がほとんどない、テントのような断面形状は、樹木の枝葉のために上空を残しながら、人のための最大限の床を地表近くに生み出すことを目的としている。また同時に、現代の別荘に真に必要とされているものは「物品を置くための壁」ではなく、周囲の自然環境を享受できる、広々とした「空間」そのものだ、という考えにも基づいている。

構造は木造である。三角形の断面形状は、構造材に曲げモーメントがほとんど発生しないため、120mm角の部材のみで、最大幅4.5m、高さ5.1mの室内空間を得ることが可能となった。
接合部ごとに角度の異なる複雑なジョイントを有する木製部材は、地元の大工による手刻みで全てが加工されている。
室内に光だけをもたらすよう各所に埋め込まれた照明器具と、床に埋め込まれた暖房器具は、インターネットによる遠隔操作が可能で、真冬に到着した人々を、明るく暖かな室内が迎える。
安曇野の山荘には、現代的な設備と、伝統的・職人的な材料が、ともに等しく用いられている。

「小屋と洞窟の間」のような初源的な空間は、郊外住宅の簡素な縮小形でしかなかったこれまでの別荘建築への挑戦であり、今後あるべき姿に対する提案である。

名称:安曇野の山荘
施主:個人
所在地:長野県安曇野市
用途:戸建住宅
面積:86.93m2
竣工:2013年5月
基本・実施設計:カスヤアーキテクツオフィス(粕谷淳司・粕谷奈緒子・村田裕紀)
監理:カスヤアーキテクツオフィス(粕谷淳司・粕谷奈緒子・村田裕紀)
構造設計:小西泰孝建築構造設計(小西泰孝・千葉俊太)
照明デザイン:ソノベデザインオフィス(園部竜太)
施工:松本土建株式会社(高木時浩・宮澤昌弘)
撮影:吉村昌也(Copist & the Brushworks)・カスヤアーキテクツオフィス

Project name: Forest House
Client: Personal
Project site: Azumino, Japan
Function: Private House
Size: 86.93m2
Design & Supervise: Atsushi+Naoko Kasuya, Hiroko Kato, Yuki Murata(KAO)
Structural Design: Yasutaka Konishi, Shunta Chiba (KSE)
Lighting Design: Ryuta Sonobe(Sonobe Design)
Contractor: Matsumoto-Doken Co.,Ltd.(Tokihiro Takagi, Masahiro Miyazawa)
Photo: Masaya Yoshimura(Copist & the Brushworks), Atsushi Kasuya(KAO)